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Vol.1

アクセシビリティとは誰のため?

特別な人のためではなく、誰にでも届く設計へ

アクセシビリティという言葉は、まだ少し遠く感じられるかもしれません。
私自身、社内でWeb制作に携わる中でアクセシビリティについて学び始めたひとりです。このコラムでは、学びの中で気づいたことや、実務で感じた疑問をもとに、アクセシビリティをまだ意識していない方にも、できるだけ身近な言葉でお届けしていきたいと思います。

アクセシビリティは障害者対応だけではありません

「アクセシビリティって、障害のある人のための話ですよね?」
よくいただくこの質問。たしかに、視覚・聴覚・身体などに障害のある方がWeb上の情報にアクセスしやすくなるように設計することは、アクセシビリティの大切な目的の一つです。

たとえば、以下のような対応が挙げられます。

  • 画面を音声で読み上げるソフトに対応する
  • 音声情報に字幕をつけて伝える
  • マウスを使わなくてもキーボードで操作できるようにする

こうした配慮は、情報や機能への入口を誰にも閉ざさないための大切な設計です。

アクセシビリティが他人ごとではない理由

私がこの考え方と出会ったとき、「これは特別な人のための仕組みだ」と、どこかで線を引いていたように思います。でも、学びを重ねる中で、それが自分にも関係する話であることに気づかされました。

必要な情報にアクセスできること、安心して操作できること。
その当たり前は、ほんの少しの設計の違いで、届く人と届かない人に分かれてしまいます。

アクセシビリティとは、誰も排除しないという社会の前提を支える設計。
たとえ今困っていなくても、それは決して他人ごとではないのです。

完璧を求めずできることから始める

最初にアクセシビリティについて学んだとき、「すべての人に対応するなんて無理なのでは?」と戸惑いを感じたのを覚えています。

でも実際には、完璧を求めることがゴールではありません。
大切なのは、できることから一つずつ進めていくことです。

たとえば、次のような工夫があります。

  • 見出しの順序を論理的に整理して、情報の構造をわかりやすくする
  • 色だけに頼らず、文字やアイコンでも情報を伝える
  • 入力フォームにラベルをつけて、迷わず入力できるようにする
  • キーボードだけでも操作できるようにする
  • 読みやすいフォントや行間、余白で視認性を高める

どれも、少しの工夫で取り入れられることばかり。

でもそれが、ある人にとっての「使える・伝わる・選ばれる」につながります。

アクセシビリティが企業にもたらす価値

アクセシビリティへの配慮は、ユーザーへの思いやりであると同時に、企業にとっての価値創出にもつながります。

たとえば、

  • 情報が正しく届く → 離脱の軽減
  • 操作がしやすい → フォーム完了率の向上
  • 配慮が伝わる → ブランドイメージ・信頼感の向上

近年では、Googleをはじめとした検索エンジンがユーザー体験を重視しており、アクセシビリティに配慮されたWebサイトは、SEOの観点でも一定の効果があるといわれています。

また、日本国内では「JIS X 8341-3」というアクセシビリティ規格も整備されており、公共機関はもちろん、一般企業においてもその意識は少しずつ広まりつつあります。

未来のあたりまえに向けて

私たちが掲げている理念は、「すべてのユーザーにアクセスできるウェブサイトを」というものです。

この言葉には、「誰も取り残さない設計を、特別なことではなくあたりまえにしたい」という願いが込められています。

アクセシビリティは、一部の人のためだけの専門的な取り組みではありません。
それは、誰にとっても情報が届くための、基本となる設計の考え方です。

まずは、自社サイトを少しだけ見直してみませんか?

たとえば、こんなふうに、

  • ページの見出し構造は、論理的に整理されているか?
  • 入力フォームに、ラベルや説明文がきちんとついているか?

ちょっとした視点の転換が、大きな気づきにつながるかもしれません。

あとがき

このコラムでは、アクセシビリティをあたりまえにするという想いのもと、これから毎週、さまざまなテーマを少しずつ取り上げていきます。

「誰でも使える」「誰にでも届く」
そんなウェブを目指して、少しずつでも前に進んでいきたい。
このコラムが、その第一歩として、誰かの背中をそっと押せたら嬉しいです。

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当社では、ウェブサイトの診断や改善方法のご提案を通じて、すべてのユーザーにとって使いやすいウェブづくりをサポートしています。ご相談・ご依頼は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

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