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Vol.7

ただ書けばいいわけじゃない

伝えることを考え続けた先に

ウェブ制作を始めたころ、alt属性は「空欄にしないために書くもの」だと思っていました。

「画像を置いたら、とりあえず何か書く」
「SEOにも影響するらしい」
「ルールだからやらなきゃいけない」

そんな風に、alt属性はやるべきことの一つでしかありませんでした。

音声で聞いた青空の違和感

あるとき、自分が作った会社のトップページを、スクリーンリーダーでテストしました。
ページの上部にあったのは、ただ雰囲気を明るくしたくて置いた青空の写真。
私は、そこに青空とだけ書いていました。

再生ボタンを押すと、音声はこう読みました。
「青空画像 見出しレベル2 会社概要」

正直、衝撃を受けました。
「これ、いらない情報だ」

見えない世界では、画像が青空と読み上げられることが、むしろ邪魔になる。
私にとっては雰囲気作りのつもりだったけれど、ユーザーにとっては余計な情報でしかなかった。

alt属性は誰かに届く声になる

私はそのとき初めて、alt属性がただの空欄埋めではないことに気づきました。
それは、見えない世界で誰かに情報を届ける声になるものだと知りました。
ページのデザインを整えるだけで満足していた自分が、誰かの体験を壊していたかもしれない。
そのとき、ものすごく恥ずかしくなりました。

書かないこともやさしさだと知った

それ以来、alt属性をただ書くのではなく、本当に必要かどうかを考えるようになりました。
装飾や雰囲気を伝えるだけの画像なら、むしろaltを空にする方が親切なこともある。
逆に、商品画像や図版、ロゴ画像のように、画像がなければ情報が失われるものは、必ず短く説明を書くべきだ。

正解はない。でも問い続ける

今でも迷うことがあります。
「これは書いた方がいいのか?」
「逆に邪魔になるのではないか?」

alt属性には、技術的な正解がある。
でも、実際にページを作るときには、一つひとつ考えて選ばなければいけない。
正解がないからこそ、迷う。
でも、その迷いこそが、alt属性を書くということの意味だと思います。

小さなやさしさを積み重ねたい

alt属性は目立たないし、気づかれることもほとんどない。
でも、それが届く人には、確かに聞こえる情報になる。
だから、これからも問い続けたいと思います。
「この画像がなくても、何を伝えたいのか」
alt属性は、やさしさを選ぶ場所だと信じています。

あとがき

もしこれを読んだあなたが、次にalt属性を書くときに、少しでも立ち止まって考えてくれたら。
そして、私自身も、これからも問い続けたいと思っています。
alt属性という、小さな場所でできるやさしさを、私も積み重ねていきます。
それが、ウェブを少しずつでもやさしくする力になると信じて。

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