アクセシビリティ対応の第一歩は現状を知ることから
当社では、ウェブサイトの診断や改善方法のご提案を通じて、すべてのユーザーにとって使いやすいウェブづくりをサポートしています。ご相談・ご依頼は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせVol.5
見出しがくれる、読むための小さなきっかけ
たとえば、初めて入ったお店で、「ここ、入ってよかったのかな…?」って、ちょっと不安になることってありませんか?
店内が見えにくかったり、メニューが出ていなかったり。
中の様子がよくわからなくて、一瞬立ち止まってしまう。そんなとき、「本日のおすすめ」や「ランチあります」という案内が目に入ると、ちょっとホッとしませんか?
Webサイトも、同じです。
開いたはいいけれど、「何が書いてあるんだろう?」「自分に関係あるのかな?」と迷ってしまう。読むべきか、閉じるべきか。その判断に迷うページ、私もたくさん出会ってきました。
そんなとき、私が一番最初に見るのが見出しです。
見出しは、本文の上にある飾りじゃなくて、読むための入口です。
しかも、読むかどうかを決めるのは本文ではなく、見出しだったりします。
たとえば、よくある見出しでこんなものがあります。
これらも決して悪くはありません。誰にでも伝わりやすい無難な言葉で、目立ちすぎないやさしさもあります。
ただ、ほんの少しだけ具体性を加えてあげると、読み手にとって入りやすくなることがあります。
たとえば、
こうすることで、読者は「自分に関係ありそうかどうか」「今読むべきかどうか」を、見出しの時点で判断しやすくなります。
見出しがあることで、私たちは読む・読まないを自分で決められます。
でも、見出しがなかったら?
どこから何を読めばいいのかわからなければ、判断することすらできません。
アクセシビリティとは、特別な配慮ではなく、選べる状態をつくることだと、私は思っています。
自分で選べることは、安心につながります。
見出しは、そのための小さな案内板です。
この案内板は、視覚で読む人だけのものではありません。
スクリーンリーダーを使って、音でページを読む人にとっても、見出しは重要なナビゲーションです。
スクリーンリーダーには、「見出しにジャンプして移動できる」機能があります。
この機能を使うことで、ページ内の見出しを効率よくたどり、聞きたい場所にすばやく移動できます。
でも、この機能をちゃんと活かすには、見出しがHTMLで正しくマークアップされている必要があります。
h1からh2、h2の下にh3…と、意味の階層が崩れないように設計されていること。
そして、その見出しに何が書いてあるかが、ちゃんと伝わること。
難しく聞こえるかもしれませんが、要は読みたいところに、迷わずたどりつけるようにすること。
それが、見出しの仕事なんです。
私はこれまで、Webの文章をたくさん書いてきました。
でも、見出しを書くときは、いつも少しだけ慎重になります。
見出しって、その下にある本文を代表するような存在だからです。
あいまいだったり、何となくつけた見出しでは、読まれる前に信頼を失ってしまうこともあります。
逆に、内容がきちんと伝わる見出しがあると、それだけで「読んでみようかな」と思えることがあります。
それは、店先に出ているおすすめメニューを見て「ちょっと入ってみようかな」と思える、そんな感覚に少し似ているかもしれません。
私たちプルーヴェは、アクセシビリティを誰かのための特別なものとしてではなく、誰もが迷わずにたどりつける、あたりまえの設計として捉えています。
そのために必要なのは、ちょっとした気づきと、丁寧な実装。
マークアップのルールを守ることも、言葉を選ぶことも、「ちゃんと届いてほしい」と思う気持ちがあってこそ意味を持つと、私たちは考えています。
見出しは、小さな言葉です。
でもそこに、私たちの姿勢が表れます。
「このページ、読んでいいかな?」
そんなふうに迷っている誰かが、見出しのひとことを見て、「あ、読んでみようかな」と思える瞬間。
その小さな背中のひと押しが、Webのアクセシビリティのはじまりだと、私は思っています。
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